戻る 高岡市万葉歴史館web万葉集
読んでみよう越中万葉
巻16 巻17 巻18 巻19  巻19-

歌番号を
入力して検索。
ガイド
天平勝宝二年三月三日の明け方に、雉が鳴く声を聞いた歌二首の一首目。大伴家持の作。越中秀吟十二首の十首目。
〈作者〉大伴家持おほとものやかもち
〈歌体〉短歌
 
読み下し文 原文 よみ
題詞
あかときに鳴くきぎしを聞く歌二首
明け方に鳴くきじの声を聞く歌二首
聞暁鳴雉歌二首
杉の野に さをどきぎし いちしろく にしも泣かむ こもづまかも
杉林の野ではねまわるきじよ、おまえは、はっきりと人に知られるほどに声をあげて泣く隠り妻だというのか。
椙野尓 左乎騰流鴙[#「矢へん+鳥のつくり」、Unicode: 9D19] 灼然 啼尓之毛将哭 己母利豆麻可母
すぎののに さをどるきぎし いちしろく ねにしもなかむ こもりづまかも
左注
地名
杉の野すぎのの
  杉の生えている野の意味で、固有名詞ではない。かつて国庁跡の西北辺から二上山麓一帯にかけて杉木立の笹原が広がり、雉の生息地であった。
植物
すぎ
  スギ。山地に自生。万葉集では神木としてうたわれることが多いが、越中万葉歌では、暁に雉がスギの野で妻を求めて鳴くことをうたったもののみ。
動物
きぎし
  キジ。平地や低山などに棲息し、4〜7月頃にかけて繁殖する。3月頃から、雄はケーン、ケーンと大きな鳴き声で存在を知らせ、縄張りをつくる。また、羽を打ち鳴らしドドーと音を出す「ほろうち」と呼ばれる動作を繰り返し、存在をメスにアピールする。留鳥で、尾が長くオスは大きく鮮やかな羽を持つ。狩猟の対象にもなった。『古事記』では天若日子を探る使者として登場し、返り討ちにあう。万葉集には8首の用例があるが、越中万葉歌も含めて家持が3例、他は作者未詳である。雉の鳴き声が詠まれているものが多い。越中万葉歌では、暁に鳴く雉をうたった2首の作歌時期は繁殖期にあたる。今でも高岡市万葉歴史館周辺でまれにキジをみることができる(平成16年現在)。