2010夏季高岡万葉セミナー「大伴家持研究の最前線1」


8月21・22日の両日、高岡夏季セミナーを実施しました。たくさんの方に御参加いただき、まことにありがとうございました。

第1日目は、13:00からの開始。まずは小野館長よりのごあいさつ。
小野館長

普段以上の机と椅子を並べましたが、ほぼ満席。詰めて座って頂いて恐縮です。

木本好信先生

第1講は甲子園短期大学学長の木本好信先生による講義。「大伴家持と藤原種継の暗殺事件─五百枝王の伊予配流と家持─」と題して、種継暗殺への家持の関与はあったのか、桓武天皇と早良親王との確執、五百枝王の立場とその後などについて講義されました。万葉集以後の、大伴家棟梁としての家持が置かれた状況が明らかにされました。 

 内田賢徳先生

第2講は「大伴家持の発想と方法―中国文学の摂取をめぐって―」。内田賢徳先生(京都大学大学院教授)から、中国文学『遊仙窟』が古代日本にどのように受容され、万葉集の表現に活かされていったかについての講義でした。家持はほっそりしていたのか、がっしりしていたのか、体格についての言及もありました。

 

第2日目は、9:30からの開始。

山崎健司先生

第3講、「歌群から歌巻へ―大伴家持の編纂手法―」と題する山崎健司(熊本県立大学教授)先生の講義。大伴家持の題詞・左注の記し方が歌を披露する宴席や、独詠といった歌の場と密接に関わっている点が示されました。

鉄野昌弘先生 
第4講は、東京女子大学教授、鉄野昌弘先生により「歌人家持と官人家持」と題する講義。越中時代の家持歌に見られる鵜飼と鷹狩りが、天皇への奉仕者また天皇の代行者として行われる面を明らかにし、家持の歌人としての立場と官人としての立場が表裏一体のものであるとの見解が示されました。

神野志隆光先生

最後の第5講は、「『万葉集』のなかに編集された家持」として、明治大学大学院特任教授の神野志隆光による講義。万葉集というテキストのなかにある人麻呂歌集であり、家持の歌日誌であるという視点をもつことの重要性が指摘されました。

 たいへんな酷暑でしたが、2日間ともたくさんの方々に御参加いただきました。まさに大伴家持研究の最前線が示された非常に有意義なセミナーとなりました。

秋季セミナー「大伴家持研究の最前線2」は、11月21日(日)にお二人の先生に講義していただきます。

廣川 晶輝(甲南大学教授)「家持作品の時間と空間」

大濱 眞幸(関西大学教授)「『三年春正月一日』の賀歌から『萬葉』の賀歌へ」

詳細はこちら。http://www.manreki.com/gaiyou/gyouji/2010/2010seminar-aki.pdf

今回参加された方はもちろん、聞き逃した方も秋のセミナーには是非お越し下さい。

お申込はhttp://katakago.info/html/modules/formmail/index.php?idform=4でどうぞ。