秋の特別企画展「越中万葉の歌枕」はじまりました。


入り口右 

秋の特別企画展「越中万葉の歌枕 越中万葉研究のあゆみ2」がはじまりました。今回開館二十周年を記念して企画するのは、万葉集以後、平安時代から近世に至るまで、越中万葉がどう受け取られ、理解されたのかという、歌によまれた地名を切り口とした「歌枕の世界」です。和歌史を語るうえでも欠かすことのできない要所として、越中の代表的な歌枕「布勢の水海」にスポットを当ててひもといていきます。

入り口

田中大秀の「遊覧越中旧国府家持卿古蹟述懐辞」(勝興寺蔵)を展示しています。布勢の円山の布勢神社に建つ「大伴家持卿遊覧之地碑」拓本と山本有香撰文の軸も展示しています。

歌枕マップ

今回の特別企画展にあたり、越中歌枕マップを作製しました。越中国と射水郡の2種類です。それぞれ「越中四郡村々組分絵図」(高樹会所蔵・射水市新湊博物館)と「射水郡分間絵図」(同)を原図にして、万葉以後、歌に詠まれた地名の推定地を記しています。原図には射水市新湊博物館のご協力を得て、石黒信由の製作にかかる江戸時代文政年間の古地図を用いています。みなさんの住んでいるあたりにある歌枕が確認できます。

布施湖八勝

そして今回は「布施湖八勝」(勝興寺蔵)の巻子をすべて開いて展示しています。原在中による布施湖の想像図から、勝興寺十九代目住職闡郁(せんいく)や清原宣光、芝山持豊の序跋、八勝それぞれを詠んだ和歌まですべてをご覧頂けます。

越中万葉歌碑マップ

このたび富山県から発行された「越中万葉歌碑マップ」のパネルも展示しています。連綿と受け継がれてきた歌枕研究の成果はこのマップに載せられた歌碑建立地の由来として、現在へとつながっています。

図録

図録は「越中歌枕マップ」や「田中大秀と越中」、「布施湖八勝」の読み下しと現代語訳などを載せ、資料的価値の高いものとなっています。300円で販売しています。会期は11月1日(月)まで。ご来館をお待ちしています。