「家持の本棚」はじまりました。


展示入口

平成23年度春の特別企画展「家持の本棚」が始まりました。

本と本のかたち

今回は奈良時代、本棚として利用されていたものということで、奈良女子大学より正倉院模造宝物の「赤漆文欟木厨子(せきしつぶんかんぼくずし)」をお借りして展示しています。巻物と文房具手前には『王勃詩序』や『国家珍宝帳』といった巻物。当時の本は巻物でした。「あきはぎ木簡」と当時の文房具も展示しています。家持の書斎もこんな雰囲気だったのではないでしょうか。

国家珍宝帳

『国家珍宝帳』の2番目に記載された「厨子壹口」。「赤漆文欟木」とも記されています。後に「納物」として、聖武天皇皇宸『雑集』や光明皇后御筆『杜家立成』、『樂毅論』などが記載されています。

写章疏目録

数少ない古代の図書リスト。『南京遺文』第29図「写章疏目録」。「正倉院文書」の中の書名が列挙された箇所です。

日本国見在書目録

『日本国見在書目録』は平安時代のものですが、奈良時代にすでに日本に入っていた図書も多いようです。

抱朴子

万葉集にもその書名と著者が記された『抱朴子』。

遊仙窟

『遊仙窟』(醍醐寺本影印)。大伴家持の「夢の逢ひは苦しかりけりおどろきて掻き探れども手にも触れねば」(巻4・741)の歌の発想のルーツと言われる部分です。

『毛詩』桃夭
こちらも大伴家持の歌「春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子」(巻19・4139)との関連が指摘される『毛詩』桃夭の部分です。

『李善註文選』

『李善註文選』。斎藤茂吉旧蔵の館蔵品です。

『南京遺芳』「李善注文選」断簡『南京遺芳』より「李善注文選」の奈良時代以前の写本です。当時の書写形態をうかがうことができます。
今回は、奈良時代の本棚と本の外観と、その本をとおして家持たち万葉びとがどのような表現をしたのかという内容面を展示しています。

表看板

会期は5月30日(月)まで。休館日は4/19(火)、4/26(火)、5/6(金)、5/10(火)、5/17(火)、5/24(火)です。

4月29日(金・祝)には小野寛当館特別顧問による記念講演会「大伴家持と漢詩文」もあります。参加募集中です。

GW中も含め会期中のご来館をお待ちしています。