私は高岡市の出身で、小さいころから万葉集や大伴家持の歌に親しんできました。大学では日本文学を学んでおり、万葉歴史館で博物館実習をさせていただきました。これまでは、万葉歴史館や市の活動に参加するだけだった自分が逆の立場となり、大伴家持が歌に詠んだ越中万葉の世界を学芸員としてどう伝えていくか、という視点をもつことが大きな課題となりました。
実習では、館の展示・運営に関することから、収蔵庫・図書の整理まで、多くのことを学ばせていただきました。実際に、展示品の解説となるキャプション作りも行いました。キャプションの文章は、推敲に推敲を重ね、どの言葉を選ぶと適切に伝えることができるか、文字の大きさやフォント・余白は見やすいかということを議論しました。一つの文章を考えるだけでも、さらに良い言葉があるはずだ、となかなか最終段階に進まず、用紙の大きさに合わせてパネルをカットするのも、力と丁寧さを必要とし、思った以上に時間がかかってしまいました。そうやって出来上がったキャプションを、来館者の方が読んでくださっているのを見たときは、とても嬉しくなりました。自分が発信した情報を、受け取っていただける喜びがありました。
また、今回は実習期間中に夏期セミナーが開催され、地元の方のみならず、全国の万葉愛好者の方とお話する機会にも恵まれました。万葉のふるさととしての「高岡」に改めて気付くことができました。
この実習を通して、越中万葉の魅力をPRする様々な企画や取り組みを間近で経験することができ、そして、それに関わる人びと(学芸員だけでなく、事務の職員の方々・セミナーの講師の先生・ボランティアの和草の皆さま・愛する会の皆さま・地域の方々など)の支えの大きさも知ることができました。