岡市万葉歴史館トップページへのリンク






玉くしげ 二上山に 鳴く鳥の 声の恋しき 時は来にけり


 (巻17−3987・大伴家持)

現代語訳

二上山に鳴くホトトギスの、声の恋しい季節がやってきた。




渋谿(しぶたに)の 二上山に 鷲(わし)そ 子産(こむ)といふ 指羽(さしは)にも 君がみために 鷲そ子産といふ



 (巻16−3882・越中国歌)

現代語訳

>渋谿の二上山で、鷲が子を生むという。“さしは”に使ってもらって、 あなたのお役に立とうと、鷲が子を生むという。




「二上山」は、その名のとおり2つの峰をもつ山でした。 2峰のうちの西峰は、室町時代に守山城が築かれたため削られており、見る角度によっては「二上」に見えません。

東峰は標高274mあります。

家持はこの山を題材にした多くの歌を詠んでいます。きっと家持が住んでいた国守館跡からは、当時は二上山がよく 見えたのでしょう。

同じ名前の「二上山」がある都を恋しく思いながらこ朝夕に眺めていたのかも知れませんが、越中の 二上山の四季の美しさに感動したのでしょうか。

なお守山城は、その後上杉謙信の攻撃を受けたり、越中を制圧した豊臣秀吉方の前田利長の居城となったりと、歴史を 重ね、江戸時代初期の元和元年に廃城となりました。

現在は、城跡に観音像が建ち八重桜の美しい公園として知られています。

  [戻る]