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ごあいさつ

 平成22年(2010)3月に奈良女子大学を定年退職し、卯年の23年4月から卯年の令和5年(2023)3月まで12年間館長として務めさせていただきました。
 高岡市万葉歴史館は平成2年(1990)10月の開館ですから、赴任した年には21年という長い年月を経過しており、常設展示や企画展示などの展示機能のリニューアルが必要な時期を迎えていました。元号が万葉集巻5「梅花の歌三十二首」の序文を典拠として「令和」と改められたのを機に、令和3年(2021)に「万葉体感エリア」(旧「常設展示室」)、「万葉学習エリア」(旧「企画展示室」)としてリニューアルすることを主導し、新たな展示室の誕生に貢献できたことはよい思い出です。展示物の充実にも務め、「山口千代子万葉衣装コレクション」「井関古都路万葉草木染めコレクション」を始め、万葉古蹟写真、全国の万葉歌碑拓本、正倉院模造宝物など、万葉歴史館の展示コレクションを豊かにすることができました。
 また、小野前館長の後を引き継いで、研究機能の充実、全国の万葉集研究者・愛好者へのサービスの充実、最新の研究情報と研究成果を踏まえた企画展示の充実、万葉集および古代史の学習講座の充実を図るとともに、「万葉のふるさと高岡フォトコンテスト」や「高校生万葉短歌バトルin高岡」、「全国万葉故地サミット」など新しいイベントを開始し、判者などを務めるなど、イベントの継続発展に尽力しました。平成25年(2013)年10月の音楽朗読劇「万葉ファンタジスタ」(主演石黒賢)の高岡公演、平成29年(2017)に大伴家持生誕1300年記念事業演劇「剣に歌に、夢が翔ぶ!」(主演和泉元彌)の公演の実施に尽力し、監修を担当するなど大伴家持生誕1300年記念事業に重要な役割を果たすことができました。
 高岡市のイベント「万葉集全20巻朗唱の会」への参加はもちろんのこと、太宰府市の「梅花の宴」への参加など、高岡市以外の万葉故地で開催されたイベントにも積極的に参加し、太宰府市、多賀城市、江津市、益田市、明日香村などをはじめとする全国の万葉故地と愛好家たちのネットワーク化を推進し、越中万葉と万葉集の楽しさを広めました。
 万葉歴史館の講座としては館長講座「『日めくり万葉集』を読む」を継続開講するとともに、「万葉集をよむ」の講座も担当、また「坂本信幸の越中万葉教室」をはじめとして、高岡市内の学校や公民館などで、わかりやすく越中万葉の世界を伝える活動も行いました。
 令和4年(2022)に、インバウンドのための「万葉歌碑サイン」を全国に先駈けて設置することができたのも良い思い出となりました。
 新館長に、NHK番組「日めくり万葉集」を共に監修した慶應大学名誉教授・藤原茂樹氏を迎えることとなり、安心して館長を辞することができました。
 今後は、令和3年(2021)に解散した「全国万葉協会」の後を受けて、新たに主催することにした「万葉文化振興会」の活動(万葉ウォーキング、万葉故地旅行、万葉講演等)を通して、万葉集の魅力を発信し、全国の万葉愛好家の裾野を広げることに貢献しようと思います。
 令和5年4月1日  
   坂本 信幸  
プロフィール 

 昭和22年(1947326日、高知県高岡郡窪川町(現・四万十町)に生まれる。昭和47年(19723月、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程を修了。大谷女子大学助教授、奈良女子大学教授、奈良女子大学大学院教授を経て、平成22年(2010)定年退職、奈良女子大学名誉教授。平成23年(2011)41日、高岡市万葉歴史館館長に就任。令和5年(20233月末日高岡市万葉歴史館館長を退任し、41日より高岡市万葉歴史館名誉館長に就任。萬葉学会代表、上代文学会理事、美夫君志会理事、全国万葉協会顧問などを歴任、現在は万葉文化振興会会長、龍短歌会代表、飛鳥を愛する会副会長。

 著書に『万葉歌解』(塙書房)、共編著に『古代の歌と説話』(和泉書院)、『万葉事始』(和泉書院)、『セミナー万葉の歌人と作品』全12巻(和泉書院)、『万葉集CD-ROM版』(塙書房)、『萬葉集索引』(塙書房)、『萬葉拾穂抄影印翻刻』全4冊(塙書房)、『万葉びとの言葉とこころ万葉から万葉へ』(NHK出版)、『萬葉集電子総索引』CD-ROM版(塙書房)、『日本全国万葉の旅(大和編)』『日本全国万葉の旅(西日本・東日本編)』(小学館)、『万葉植物の歌 鑑賞事典 カラー版【QRコード付】』(和泉書院)。監修に『NHK 日めくり万葉集』(講談社)。歌集に『雪に恋ふ』(和泉書院)ほか。


※名誉館長講座「万葉秀歌を読む」を、令和5年度より年3回開催。



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