高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

072回「夜ぐたちに 寝覚めて居れば 川瀬尋め」

2021年10月01日

夜中過ぎに

眠れずにいると、

川の浅瀬伝いに、

聞く人の心もせつなくなるほどに

鳴いている千鳥よ。

 

 

 

 

 

 

 

夜(よ)ぐたちに 寝覚(ねさ)めて居(を)れば 川瀬尋(かわせと)め 心もしのに 鳴く千鳥(ちどり)かも

大伴家持(巻19・四一四六)

 

 題詞(だいし)に「夜(よ)の裏(うち)に千鳥の鳴くを聞く歌二首」とある一首目。三月二日の夜の作です。

 「夜(よ)降(ぐた)ち」は夜中を過ぎ明け方近くなった時分、「尋(と)む」は追い求める意。

 チドリは集中25首に詠まれた鳥で、大伴家のある奈良の佐保(さほ)のチドリは9首詠まれています。

 青春の頃大神女郎(おおみわのいらつめ)に、

さ夜中(よなか)に 友呼ぶ千鳥 物思(ものおも)ふと わび居(を)る時に 鳴きつつもとな(巻4・六一八)

と夜鳴く千鳥の歌を贈られたこともあります。柿本人麻呂歌に、

近江の海(あふみのうみ)  夕波千鳥(ゆふなみちどり)  汝(な)が鳴けば  心もしのに 古(いにしへ)思ほゆ(巻3・二六六)

とあるように懐旧の鳥であり、家持は故郷を思い出していたのでしょう。(坂本信幸)

 

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。