高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む~越中万葉かるたの世界~

092回「世間の 常なきことは 知るらむを」

2022年03月16日

世の中が

常でないことは

ご存じでしょうに、

くよくよなさるな、

ますらおの身なのだから。

 

 

 

 

 

 

世間(よのなか)の 常(つね)なきことは 知るらむを 心尽くすな ますらをにして

大伴家持(巻19・四二一六)

 

 左注に「聟(むこ)の南右大臣家の藤原二郎の慈母(じぼ)を喪(うしな)ひつる患(うれ)へを弔ふ」とあり、家持の娘婿(むすめむこ)で、藤原南家(なんけ)の右大臣の次男が母を失って悲しんでいるのを弔った長歌の第二反歌です。

 次男は、南家の祖の藤原武智麻呂(むちまろ)の長男にあたる右大臣豊成(とよなり)の二男継縄(つぐなわ)と考えられますが、豊成の弟の仲麻呂(なかまろ)を「南右大臣」として仲麻呂の二男久須麻呂(くすまろ)とする説もあります。第一反歌の

遠音(おほおと)にも 君が嘆くと 聞きつれば 音(ね)のみし泣かゆ 相思(あひおも)ふ我(あれ)は

大伴家持(巻19・4215)

遠くはるかな噂話としても、あなたが嘆いておられると聞いたので、声に出して泣いてしまいます、同じ思いのわたしは。

とともに、娘婿のことを思い遣るやさしさに満ちています。(坂本信幸)

 

 

 

 

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。