高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

002回「渋谿の 二上山に 鷲そ子産といふ」

2020年08月09日

渋谿(しぶたに)の

二上山(ふたがみやま)に

鷲(わし)が子を産むと言います。

せめて翳(さしは)にでもなって

主君のお役に立とうと、

鷲が子を産むと言います。

渋谿(しぶたに)の 二上山(ふたがみやま)に 鷲(わし)そ子産(こむ)といふ

翳(さしは)にも 君(きみ)がみために 鷲(わし)そ子産(こむ)といふ

作者未詳(巻16・三八八二)

 「越中国(こしのみちのなかのくに)の歌四首」のなかの一首で、音数が577577の旋頭歌(せどうか)という形の歌になっています。

 「渋谿(しぶたに)」は、二上山が海に接するあたりの地名で、現在の雨晴(あまはらし)海岸あたりです。

 「翳(さしは)」は、身分の高い人の顔を隠すために後ろからさしかける柄(え)の長いうちわのようなもので、鳥の羽で作ることもありました。

 「君」のために翳になるために鷲が子どもを産んでいると歌うのですから、この君は翳を使うような身分の高い主君のことでしょう。鷲までもがお役に立とうとしていると歌うことで、主君のすばらしさを讃(たた)えたのです。(新谷秀夫)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。