高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

005回「秋の夜は 暁寒し 白たへの」

2020年08月20日

 

秋の夜は

明け方が寒いですよ。

(しろたへの)

いとしい妻の着物を

着て寝る手だてがあればよいのですが。

 

 

 

 

 

 

 

秋の夜は 暁(あかとき)寒し 白たへの 妹(いも)が衣手(ころもて) 着むよしもがも

大伴池主(おおとものいけぬし) (巻17・三九四五)

 

 連載4回の歌に続く大伴池主の二首目の歌です。

 宴の催された八月七日は、太陽暦でいうと八月三十一日ですから、北陸のこととは言えまだ暑さが残っている頃です。でも、暦の上では七・八・九月は秋。中国の書物『礼記(らいき)』に「孟秋(もうしゆう)之月、涼風(りようふう)至リ、白露降ル」(孟秋は七月)と記されている季節に当たります。

 奈良の都に妻を残して家持が赴任して約一ヶ月。妻恋しさのつのる頃です。先に赴任していた作者池主は、家持より数歳年上で旧知の仲でした。八月末とはいえ、越中の秋の明け方は、奈良に較べると少して冷え込みます。やがて妻が側にいない初めての北陸の寒い季節を体験することになる都育ちの家持を気遣った歌です。(田中夏陽子)

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。