高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

004回「をみなへし 咲きたる野辺を 行きめぐり」

2020年08月16日

 

おみなえしが

咲いている野辺を

行きめぐっているうちに、

あなたを思い出して

回り道をして摘んで来てしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

をみなへし 咲きたる野辺(のへ)を 行(ゆ)きめぐり 君を思(おも)ひ出(で) たもとほり来(き)ぬ

大伴池主(おおとものいけぬし) (巻17・三九四四)

 

 宴の主人家持の挨拶歌三九四三に応えた大伴池主(いけぬし)の返歌です。

 家持歌が「穂向(ほむ)き見がてり─ふさ手折(たを)り来る」と歌ったのに対し、「君を思ひ出(で)─たもとほり来ぬ」と、応えたところに味わいがあります。

 タモトホルとは、「廻(めぐ)って行く。行きつ戻りつする」意ですが、

春霞 井の上(へ)ゆ直(ただ)に 道はあれど 君に逢はむと たもとほり来(く)も

(巻7・一二五六)

のように、恋人のもとに通うときの表現として用いられたりしました。

 家持を恋人のように讃(たた)え、穂向きを見るついででなく、あなたを思い出しわざわざ回り道をして来たのですと応えたのです。(坂本信幸)

 

 

竹本正撮影「ひとりじめ」平成28年度入賞作品

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。