高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

009回「馬並めて いざ打ち行かな 渋谿の」

2020年09月03日

馬を並べて、

さあ出かけよう。

渋谿の

清らかな磯辺に

打ち寄せる波を見に。

 

 

 

 

 

 

馬並(な)めて いざ打ち行(ゆ)かな 渋谿(しぶたに)の 清き磯回(いそみ)に 寄する波見に

大伴家持(巻17・三九五四)

 

 前回の歌に続く国守新任の宴席歌十三首のうちの後ろから二首目の歌に当たります。

 楽しく歌い進められた宴もそろそろお開きに近付いた頃合いです。でも、宴の主催者である家持は、この楽しい集いをもう少し続けようと思ったのでしょう。遊楽の場を変え、国守館から出て渋谿の清らかな磯寄せる波を見に行こうと提案した歌です。

 「渋谿(しぶたに)の磯」は、現在の雨晴(あまはらし)海岸のこと。国守館(こくしゅかん)[伏木(ふしき)気象資料館付近が比定地]から三キロほどの距離の、海越しの立山連峰を望むことができる景勝地です。

 平成26年に「奥の細道」ゆかりの国の名勝に指定された「有磯海(ありそうみ)[女岩(めいわ)]」は、この磯のことです。連載12・21・79・89回の歌もご覧ください。(田中夏陽子)

 

大島秀信「渋谿の磯」(高岡市万葉歴史館蔵)

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。