高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

021回「渋谿の 崎の荒磯に 寄する波」

2020年10月11日

渋谿(しぶたに)の

崎の荒磯(あらいそ)に

うち寄せる波のように、

いよいよしきりに、

遠い昔のことがしのばれます。

 

 

 

 

 

 

 

渋谿(しぶたに)の 崎の荒磯(ありそ)に 寄する波 いやしくしくに いにしへ思ほゆ

大伴家持(巻17・三九八六)

 

 

 題詞(だいし)に「二上山の賦(ふたがみやまのふ)一首 この山は射水郡(いみづのこほり)に有り」と記す長歌一首反歌二首の最後の一首。

 「賦」とは、景観を描写するのに適した中国の韻文の文体の一種で、家持はそれを長歌の意で用いています。「この山は射水郡に有り」というは、越中の人には不要な注で、この歌が都人の鑑賞のために作られたことが分かります。

 「布勢の水海(ふせのみずうみ)に遊覧する賦」「立山(たちやま)の賦」とともに越中の代表的な景色を作品化して、都への手土産にしたのです。二上山はその裾に連なる渋谿の荒磯の景観とともに古から今に至るまで人々に賞賛される山なのです。(坂本信幸)

 

「渋谿の崎」佐竹清(高岡市万葉歴史館蔵)

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。