高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

034回「天ざかる 鄙とも著く ここだくも」

2020年12月25日

(あまざかる)

鄙の地だけのことはあって、

こんなにも

恋しさがつのるのか。

心なごむ日とてなく。

 

 

 

 

 

 

 

天(あま)ざかる 鄙(ひな)とも著(しる)く ここだくも 繁(しげ)き恋かも 和(な)ぐる日もなく

大伴家持(巻17・四〇一九)

 

 

 前の回(33回)の歌と同じ天平二十年正月の作です。

 二度目の春を迎え、越中の風土になじんではきたものの、妻や子ども、懐かしい人たちの暮らす平城京を恋しく思う気持ちは強くなる一方でした。

 家持は越中を表すのに、「み雪降る越(こし)」「しなざかる越」というようにことばを使い分けていますが、ここでは都からの心理的な距離が遠いことを強く意識した「天(あま)ざかる鄙(ひな)」という表現を選んでいます。

 33回に登場した地名・「奈呉(なご)」という響きは「なごむ」に通じます。恋しさはおさまるはずなのに、かえって思いがつのることを嘆いているのです。(井ノ口史)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。