高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

039回「立山の 雪し来らしも 延槻の」

2021年02月04日

立山(たてやま)の

雪が溶(と)けて流れてきたらしい。

延槻河(はいつきがわ)の

渡り瀬で、

ふえた水かさであぶみまでも水に濡らした。

 

 

 

 

 

 

 

立山(たちやま)の 雪し来(く)らしも 延槻(はひつき)の 河(かは)の渡り瀬(わたりぜ) 鐙浸(あぶみつ)かすも

大伴家持(巻17・四〇二四)

 

 「新川(にいかわ)郡」までやってきた家持は、魚津市と滑川市の境界を流れる現在の早月川(はやつきがわ)にあたる「延槻河(はひつきがわ)」で、雪解け水の水量に驚き、それを「立山の雪し来らしも」と歌います。

 一般的に第二句は「雪し(く)らしも(雪が消えはじめたらしい)」と解釈されています。しかし、早月川は立山連峰を源とする日本屈指の急流です。橋のないところで渡る川の浅瀬で、馬に乗る時に足を置く「鐙(あぶみ)」までも濡れたと歌っているので、あたかも雪が到来したかのように「雪し(く)らしも」と詠ったと解釈する方が、越中の風土を実体験した者の歌としてふさわしいでしょう。(新谷秀夫)

 

「延槻川上流」川尻慶二・撮影(高岡市万葉歴史館蔵)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。