高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む~越中万葉かるたの世界~

044回「乎布の崎 漕ぎたもとほり ひねもすに」

2021年03月10日

乎布の崎は、

漕ぎまわりつつ

一日じゅう

見ていても飽きるような

浦ではないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

乎布(をふ)の崎 漕ぎたもとほり ひねもすに 見とも飽(あ)くべき 浦にあらなくに

大伴家持(巻18・四〇三七)

 

 天平二十年(七四八)三月二十三日(太陽暦の四月二十九日)、橘諸兄(たちばなのもろえ)の使者田辺福麻呂(たなべのさきまろ)を、越中の館に迎えた宴での大伴家持の歌です。

 布勢水海(ふせのみずうみ)での遊覧を誘う家持に対して福麻呂が、

いかにある 布勢の浦そも ここだくに 君が見せむと 我を留(とど)むる

田辺福麻呂(18・四〇三六)

と布勢の浦はどれほど素晴らしい場所なのかと歌で尋ね、家持が答えた歌です。

 「乎布の崎(おふのさき)」が現在のどこに当たるのは不明ですが、前年、家持を布勢水海に誘った大伴池主(いけぬし)の長歌(17・三九九三)によると、見飽きることのない、素晴らしい景色だったことがわかります。(関隆司)

 

冨田利雄「乎敷の崎」(高岡市万葉歴史館蔵)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。