高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

062回「この見ゆる 雲ほびこりて との曇り」

2021年07月17日

今見えている

この雲が広がっていって、

一面にかき曇って

雨が降ってくれないかなあ、

満足するまで。

 

 

 

 

 

 

 

この見ゆる 雲ほびこりて との曇り 雨も降らぬか 心足(こころだ)らひに

大伴家持(巻18・四一二三)

 

 天平感宝(てんぴようかんぽう)元年(七四九)は閏(うるう)五月六日以来干ばつになり、田畑は枯れかけていました。六月一日になってやっと雨雲が見えたので、家持は雨乞いの思いを込めて雲の歌を作りました。その長歌の反歌です。

 日照りが続いて稲が実らなければ飢饉となります。二年前の天平十九年七月の干ばつでは聖武天皇が雨乞いをしたにもかかわらず穀物は枯れ、天皇は「自分に徳がないからだ」とその責任を負いました。

 国守家持は天皇の代理で国を治める存在です。越中国の干ばつは国守の責任であり、天皇の責任でもあります。家持の必死の願いは神に聞きとどけられ、六月四日に雨は降ったのでした。(坂本信幸)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。