高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む~越中万葉かるたの世界~

084回「多祜の浦の 底さへにほふ 藤波を」

2022年01月20日

多祜の浦(たこのうら)の

水底まで照り輝くほどの美しい

藤の花を、

髪に挿して行こう、

まだ見ていない人のために。

 

 

 

 

 

 

 

多祜の浦(たこのうら)の 底さへにほふ 藤波(ふぢなみ)を かざし て行(ゆ)かむ 見ぬ人のため

内蔵縄麻呂(くらのなわまろ)(巻19・四二〇〇)

 

 83回の歌と同じ時の歌です。83回の家持の歌の「藤波の影なす海の底清み」を発展させて、水底までも照り輝かせるほどに美しく咲いている藤の花と表現したのです。

 その美しい藤の花房を「かざす」のは藤の花のもつパワーを自分の身に付ける呪術ですが、ここでは「かざして行(ゆ)」くことで、参加しなかった同僚や家族など「見ぬ人」にも見せてやろうというのです。布勢の水海(ふせのみずうみ)を訪れた喜びを分かち合うのです。

 なお、この歌は平安時代以降の和歌に関わる書物に多く取り上げられていて、のちの歌人たちが歌を詠む発想の源となった万葉歌のひとつです。(新谷秀夫)

 

 

田子浦藤波神社(富山県氷見市下田子)。謡曲「藤」の舞台でもある。

田子浦藤波神社(富山県氷見市下田子)。謡曲「藤」は田子の浦の藤に取材している。

 

 

境内には享和2年(1802)に建てられた「大伴家持卿遊覧之地」の石碑がある。 題字は正二位権大納言花山藤公。

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。