高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

011回「奈呉の海人の 釣する舟は 今こそば」

2020年09月11日

奈呉の海人たちが

釣りをする舟は、

今こんな時こそ

舟の棚板を威勢よくたたいて、

無理してでも漕ぎ出してくれればいいのに。

 

 

 

 

 

 

奈呉(なご)の海人(あま)の 釣する舟は 今こそば 舟棚(ふなだな)打ちて あへて漕ぎ出(で)め

秦八千島(はだのやちしま) (巻17・三九五六)

 

 この歌は、国司(こくし)の四等官である「大目」(だいさかん)という役目であった秦八千島の館(むろつみ/官舎)で開かれた宴会での歌です。

 注によると、館の客間からは居ながら青海が眺められたので、八千島がこの歌を作ったということです。「奈呉」は、射水市新湊西部海浜および放生津(ほうじようづ)一帯の地です。

 「舟棚」は舟の舷側(げんがわ)の横板で、それを打つのは、三重県鳥羽の海女が海に潜るとき手にした鑿(のみ)で船側をたたくまじないをするのと同様の、魔除けと豊漁を祈る呪術と考えられます。奈呉に住む海人(あま)の習俗が歌われているのです。(坂本信幸)

やちしまくん(高岡市万葉歴史館「越中万葉の仲間たち」より)

高岡市万葉歴史館制作「越中万葉の仲間たち」

 

 

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。