高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

013回「白波の 寄する磯廻を 漕ぐ舟の」

2020年09月17日

白波の

うち寄せる磯辺を

漕ぐ舟が

櫂をしきりに動かすように、

絶えず恋しく思われたあなたですよ。

 

 

 

 

 

 

白波の 寄する磯廻(いそみ)を 漕ぐ舟の 梶(かじ)取る間なく 思ほえし君

大伴家持(巻17・三九六一)

 

 越中国の掾(じょう)[現在の課長級の役職]の大伴池主(おおとものいけぬし)は、天平十八年(七四六)の旧暦十一月、奈良の都への四ヶ月にわたる長期出張を終えて越中に戻ってきました。その慰労の宴の歌です。

 この日は雪がにわかに降り始め、三十センチ以上も積る日でした。海を見ると厳しい天候のなか、海人(あま)の舟が海に漕ぎ出しています。

 その情景に思いを託して、一首目は、

庭に降る 雪は千重敷(ちえし)く しかのみに 思ひて君を 我が待たなくに

大伴家持(巻17・三九六〇)

庭に降る雪は千重に積もりました。しかし、その程度に思ってあなたのお帰りをわたしは待っていたのではありません。

と雪を題材に、二首目には海人の舟を題材に、家持は池主との再会を歓ぶ歌を詠みました。その二首目の歌がこの歌です。(田中夏陽子)

いけぬしくん(高岡市万葉歴史館制作「越中万葉の仲間たち」より)

高岡市万葉歴史館制作「越中万葉の仲間たち」

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。