高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む

015回「鶯の 鳴き散らすらむ 春の花」

2020年09月25日

 

鶯(うぐいす)が

鳴いては散らしているだろう

春の花を、

早くあなたと手折って

髪に挿したいものです。

 

 

 

 

 

鶯(うぐひす)の 鳴き散らすらむ 春の花 いつしか 君と 手折(たを)りかざさむ

大伴家持(巻17・三九六六)

 

 「春の花を手折(たお)る力が欲しい」と歌った連載14回の前歌と共に、大伴池主(おおとものいけぬし)に送った第二首目です。

 二首ともに春の花を手折りかざすことが歌われています。春の花や青葉を髪や冠に挿しかざすのは、春の植物のもつ生命力を身に付ける意味をもつとともに、訪れた春を楽しむ風流な行事でもありました。やがて元気になって、春の花をあなたと一緒に愛でたいと願った歌です。

 赴任して初めての春を迎えた家持でしたが、外に出られずに、独り病床に臥(ふ)したまま、回復がいつになるか分からない状況の中で、爛漫と咲く花々の様子や、「鶯の鳴き散らすらむ(鶯が鳴いては散らしているだろう)」とウグイスの様子を想像するしかなかったのです。(田中夏陽子)

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。