高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む

016回「鶯の 来鳴く山吹 うたがたも」

2020年09月27日

 

鶯(うぐいす)が

やって来て鳴く山吹ですが、

よもや

あなたが手を触れないままに、

花が散ることはないでしょう。

 

 

 

 

 

鶯(うぐひす)の 来鳴(きな)く山吹(やまぶき) うたがたも 君が手触(たふ)れず 花散らめやも

大伴池主(いけぬし)(巻17・三九六八)

 

 連載15回の三九六六番歌に答えた池主の二首の歌の第二首目です。

 左注によると、歌が返されたのは三月二日。太陽暦の四月十九日にあたります。奈良の都より少し遅れて、越中の桜は満開を迎えます。

 一首目の三九六七歌には、

山峡(やまがひ)に 咲ける桜を ただ一目 君に見せてば 何をか思はむ

大伴池主(巻17・三九六七)

山あいに咲いている桜を、一目だけでもあなたにお見せできたら、何を不足に思うことがありましょう(それができないのが残念です)。

とあり、山桜が咲きほこっている頃だったことが分かります。

 この歌では、連載15回三九六六番で「うぐひすの 鳴き散らすらむ 春の花」と歌った家持歌に応えて、池主は「(残念ながら桜には間に合わないけれど)あなたが手折らないままにウグイスが来て鳴く山吹が散るなどということがありましょうか(山吹が見頃の時には元気になるでしょう)」と家持を励ましているのです。(田中夏陽子)

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。