まんれきブログ -
越中万葉歌を読む~越中万葉かるたの世界~
024回「立山に 降り置ける雪を 常夏に」
2020年10月23日

立山に
降り置いている雪は、
夏のいま
見ても見あきることがない。
神の山だからにちがいない。
立山(たちやま)に 降り置ける雪を 常夏(とこなつ)に 見れども飽かず 神(かむ)からならし
大伴家持(巻17・四〇〇一)
天平十九年(七四四)四月二十七日(太陽暦で六月十三日)に詠んだ「立山の賦(たちやまのふ)」の反歌二首のうちの一首です。
万葉の時代は四月~六月が夏です。家持は、夏なのに白い雪が積もった山脈(やまなみ・立山連峰)を越中ではじめて目にしました。
そのはじめて見る光景に対する素直な感動を「見れども飽かず」と歌い、夏に雪が積もることに対する驚きを「神からならし(きっと神の山にちがいない)」と歌にしました。
五月に一旦(いつたん)都(平城京)に戻った家持は、越中の自然のすばらしさを知らない都に住む人たちに、この歌を土産話として聞かせたことでしょう。(新谷秀夫)
高岡市万葉歴史館編
『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』
笠間書院・2014年刊
フルカラーA5判・128頁・定価1000円
※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。