高岡市万葉歴史館
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まんれきブログ -
越中万葉歌を読む

056回「わが背子が 古き垣内の 桜花」

2021年06月05日

あなたの

以前の屋敷の庭の

桜の花は、

まだつぼみのままです。

一目見に来なさいよ。

 

 

 

 

 

 

 

わが背子(せこ)が 古き垣内(かきつ)の 桜花 いまだふふめり 一目(ひとめ)見に来(こ)ね

大伴家持(巻18・四〇七七)

 

 天平二十一年(七四九)三月十五日(太陽暦で四月十日)、越中の隣の国越前に転任した元の部下、大伴池主(いけぬし)から贈られてきた歌、

桜花 今そ盛りと 人は言へど 我(われ)はさぶしも 君としあらねば

大伴池主(四〇七四)

桜の花は今がまっ盛りだと人は言いますが、わたしは寂しくてなりません。あなたと一緒でないので。

に答えて詠んだ歌です。

 池主が越中で住んでいた家の西北の隅に桜の木がありました。

 越前で桜の花をひとりで見ていると寂しいと言う池主に、一緒に花見を楽しんだ桜の木を見に来なさいと家持はなぐさめているのです。(新谷秀夫)

 

 

【さらに詳しく知りたい方へ】

高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。