高岡市万葉歴史館
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越中万葉歌を読む

019回「葦垣の 外にも君が 寄り立たし」

2020年10月04日

葦の垣根の

外でもあなたが

寄り立たれながら

恋い慕ってくださったからこそ、

夢に見えたのですね。

 

 

 

 

 

 

 

葦垣(あしかき)の 外(ほか)にも君が 寄り立たし 恋ひけれ こそば 夢(いめ)に見えけれ

大伴家持(巻17・三九七七)

 

 

 三月五日の池主の歌群に応じた家持の七言詩と短歌二首の第二短歌で、池主の第二反歌の、

我(わ)が背子(せこ)に 恋ひすべながり 葦垣(あしかき)の 外(ほか)に嘆かふ 我(われ)し悲しも

大伴池主(巻17・三九七五)

あなたが恋しく思われてどうしようもないので、(あしかきの)離れて嘆いているわたしがあわれでなりません。

に応じています。

 池主歌の「蘆垣の」は「外」の枕詞。「蘆垣」は葦(あし)を編んで作った垣根で、垣の内・外という意で、「外(ほか)」かかり、離れた所で嘆く意を表しています。家持歌の「葦垣」は実際の垣として表現されています。

 古代においては、恋の思いが強ければ、夢に見えるという考えがありました。ここでは、あなたが垣の外で私のことを恋い慕ってくれたから、私の夢に見えたのですね、と家持は池主に感謝しているのです。家持の病床歌群(第14回参照)はこの歌で終わります。(田中夏陽子)

 

 

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高岡市万葉歴史館編

『越中万葉を楽しむ 越中万葉かるた100首と遊び方』

笠間書院・2014年刊

フルカラーA5判・128頁・定価1000円

 

 

※本文の中で引用した歌の読み下し文は、高岡市万葉歴史館編『越中万葉百科』(笠間書院)によります。